8886調の4句30音からなる琉歌は、沖縄の人々に最も親しまれた歌謡であったといえる。この琉歌が歌集として纏められるとき、どのような編纂方法がとられたのか。このことを明らかにすることで、人々が琉歌に求めていたもの、また、琉歌が果たした役割が明らかになるだろう。 本研究は、I歌集情報データベース(琉歌集の書誌情報データベース)、II琉歌データベース(それぞれの琉歌集ごとに、琉歌本文、作者名、節名、部立など、歌集のテキストを整理するデータベース)、III琉歌索引データベース(琉歌とそれに付随する情報を検索するためのデータベース。琉歌本文、作者名、節名、部立などの項目毎に作成する)の三つのデータベース作成を目指すものである。今年度も昨年度に引き続き、石垣市立八重山博物館、沖縄県立図書館、浦添市立図書館に収蔵されている琉歌集を調査し、琉歌集の書誌的情報の整理を行った。また、石垣市立八重山博物館蔵『古歌井つらに中風集』と琉球大学附属図書館蔵『古歌中風集』を翻刻し作成した琉歌データベースをもとに、琉歌索引データベースを作成した。 歌集情報データベースの作成をとおして、琉歌集は節組琉歌集と部立てによる琉歌集だけでなく、「いろは琉歌」や『家訓歌語』のような教訓的な内容の歌を集めたものがあり、八重山を中心にひろく享受されていたことが明らかになった。また、『古歌井つらに中風集』『古歌中風集』など「古歌」と題された歌集があり、これらは歌の配列の類似などから、近い関係にあるものであることが明らかになった。
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