本年度(平成22年度)は、具体的に以下のような調査・研究を行った。 1.専修大学図書館蔵「菊亭文庫」『公規公記』に関する研究 専修大学図書館蔵「菊亭文庫」中で見出した、第14代菊亭家当主今出川公規(1638~97)の日記『公規公記』万治4年(1661)1月15日条の内裏炎上の記事中に引用される、天皇家の蔵書「禁裏文庫」中の楽器・楽書の目録について、上野学園大学日本音楽史研究所蔵『禁裏御文庫楽書井御楽器之目録』、京都大学附属図書館蔵「菊亭文庫」『〔禁裡楽器井諸譜目録〕』と関連させながら考究するとともに、公規が近世前期の禁裏文庫に関与していた可能性について論文にまとめた。この論文については入稿中であり、近く刊行される論集にて発表予定である。 2.『公規公記』の調査 京都大学附属図書館蔵「菊亭文庫」中の『公規公記』(巻子3軸)、東京大学史料編纂所蔵『公規卿記』(冊子14冊)および『公規公記』(冊子6冊)、専修大学図書館蔵「菊亭文庫」中の『〔萬治四年寛文二年等日次記録〕』(正しくは『公規公記』、冊子4冊)の原本を閲覧し、書誌調査を行った。調査報告については、平成23年度に行う予定である。 3.楽器目録の調査 1.に関連する資料として、国立公文書館所蔵『名楽器目録』を閲覧し、調査を行った。 4.東京国立博物館蔵「菊亭家旧蔵書」の調査 東京国立博物館に所蔵される「菊亭家旧蔵書」のマイクロフィルムの閲覧を行った。
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