本研究は、「菊亭文庫」の歴史を、菊亭家歴代当主の事跡に着目しつつ明らかにしようとしたものである。調査・研究の結果、第21代当主今出川実種(1754~1801)が、蔵書を分類・整理し、目録や副本を作成、さらには数多くの文書・典籍(主に記録類)を執筆していたことが分かった。彼が整理・作成した文書・典籍類は、現在の「菊亭文庫」に受け継がれている。「菊亭文庫」が今の形で遺るのも決して偶然ではなく、彼の功績によるところが大きいのである。本研究によって、実種こそが、江戸期までの菊亭家歴代当主24名の中で、「菊亭文庫」の形成と発展に大きく寄与した人物であったことが明らかとなった。
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