3年間の研究企画の1年目として、設備、資料の収集を行いながら、基礎資料の作成を目指すことを主眼とした。そして主要な作品や現象についての研究を開始した。具体的には「リアリティTVの歴史的展開と各国別比較」、「モキュメンタリー史」、「セルフ・カメラの導入がドキュメンタリー映像表現に与える影響について」、「リアリティTV時代におけるアイデンティティ探求/実存主義との関連性」などのテーマを掲げ、その成果の一端は主に平成21年度における国内外の各種学会にて発表を予定している。 平成20年度の代表的な成果としては、杉田米行編『グローバリゼーションとアメリカ・アジア太平洋地域』 (大学教育出版) において第4章「グローバリゼーション時代における文化交流の可能性ポピュラー・カルチャーは国家的/文化的特質を変容させうるのか?」を執筆・寄稿した。日本および日本表象の変遷過程をたどることで、文化浸透が及ぼす影響力への懸念と、その可能性について展望した。また、アメリカのアジア研究学会日本支部、The Twelfth Asian Studies Conference Japanおよび、ヨーロッパの日本研究学会、Internarional Conference of the European Association for Japanese Studiesにて、日本のポピュラー・カルチャーにまつわるパネル・セッションに参加し、研究発表を行った。近年、注目されつつある、「国際日本」研究の領域による成果であり、日米比較文化研究の伝統に位置づけられる。ヴィジュアル・アーツ (映画・コミック) を扱うポピュラー・カルチャー研究、メディア研究の方法論に基づく。この成果報告は平成21年度に予定されている、日米のメディア研究関連学会における、「ドキュメンタリーを取り巻く状況の日米比較・グローバル化」をめぐる比較分析研究に継続される。
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