本研究は、アメリカ独立革命後にひとつの国家としての道を模索していた18世紀末から19世紀初頭にかけておこった「ユニテリアン論争」を足がかりに、自由キリスト教といわれるユニテリアニズム(自由キリスト教)およびトランセンデンタリズム(超絶主義)の台頭と女性作家の宗教観の変遷を研究することを目的とする。本研究の内容は以下の通りである。1)ハナ・アダムズとジェディディア・モースによる1805年に始まる歴史教科書論争と、ジェディディア・モースとウィリアム・エマソンらハーバード出身者によるユニテリアン論争の関係2)ユニテリアニズムおよびトランセンデンタリズムにおけるヨーロッパとの関係(宗教のトランス・アトランティックな関係)3)1820年代に始まるキャサリン・マリア・セジウィックのユニテリアン・トラクトへの執筆と、反カルヴィニズム的態度4)1848年に発表されたエリザベス・ケイディ・スタントンによる女性の独立宣言とよばれる「所感宣言」および1892年にスタントンが出版した女性の観点から聖書を読み直した『女性の聖書』(The Women's Bible)における宗教的背景5)1850年代に出版されたリディア・マリア・チャイルドの宗教史と懐疑主義思想およびアン・ハチンソン再評価について
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