かねてより構想を重ねていたJ. S. G. Boggsに関する論考を大学紀要に発表。これは紙幣を題材とする現代アーティストのJ. S. G. Boggsの活動を題材にジンメルやデュシャン、ベンヤミンなどを援用して紙幣のテクスト性、フィクション性、アート性、複製性に迫る学際的な論考であり、紙幣の在り方を通してフィクションを読み直すという当研究のイントロタクションとして大変意義深い。 またPaul Auster Brooklyn Follies論をほほ完成し、投稿準備中。この論考9.11以降にアメリカ国内で配布されたジョーク紙幣"Deception Dollars"とそれが主張する陰謀史観を題材に9.11を境にリアリティがいかに変容したかを問い直す論考であり、時間軸的には当研究の最終部分を担う各論となろう。 また、調査中であったWonderful Wizard of Oz論に関しては2009年2月にWashington D. C. のLibrary of Congressでのリサーチにおいて作者Baumに関する新たな資料を発見し、現在その資料をもとに構想を見直している。また2008年夏にはStanford大学で行ったリサーチではWill Hicok Lowをはじめとする様々な題材に関する資料が見つかり、後日D. C. で実際にLowの手による絵画で1896年発行のsilver Certificateの題材となった"Histor Instructoin Youth"を見、このを在構想中のOz論、Twain論、Ignatius Donnelly論に取り込むべく構想を練っている。
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