• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

人種的視点から見たアーネスト・ヘミングウェイ研究

研究課題

研究課題/領域番号 20720087
研究機関旭川工業高等専門学校

研究代表者

本莊 忠大  旭川工業高等専門学校, 一般人文科, 准教授 (50353222)

キーワードアメリカ文学 / アフリカ史 / ヘミングウェイ
研究概要

従来「キリマンジャロの雪」および「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」と『アフリカの緑の丘』を巡っては、白人対アフリカ先住民の支配・従属という固定的関係性を前提とした描かれ方から、その背後に隠された1930年代の帝国主義文化の歴史的痕跡を浮き彫りにする論が展開されてきた。しかし、本研究においては被抑圧者として受容を強制する側面が強調されるあまり、さりげなく描かれるアフリカ先住民登場人物たちの視線や表情については、見落とされてきた点に着目し、30年代の東アフリカに見られた支配的イデオロギーとアフリカ先住民の歴史的変遷の検証を踏まえた上で作品を再読・再評価した。このように東アフリカにおける白人対アフリカ先住民の関係を、支配する側とされる側という双方を固定化した一枚岩的で均質なカテゴリーとして捉えるのではなく、植民地において構成される権力関係を前提としつつも、両者の多様な相互作用を踏まえつつ、アフリカ先住民の描かれ方を検討した。またアフリカ先住民の描かれ方に逆照射される白人の内面意識から、当時のアメリカにおける白人による自己定義の実践を読み取ると共に、自らが白人であると確証させる実践に創作活動を通して加担している作者ヘミングウェイの姿をも浮き彫りにすることにより、ヘミングウェイのより複雑な人種意識を究明している。このようなWASPの作家ヘミングウェイと作品の再評価は、当時のヘミングウェイがいかに白人文化という枠組みを乗り越えることができなかったか、さらには西洋文化がどのようなものであったかを逆照射することになる点においても重要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アフリカ先住民表象に見るヘミングウェイのアフリカ2008

    • 著者名/発表者名
      本荘忠大
    • 雑誌名

      ヘミングウェイ研究 第9号

      ページ: 29-38

    • 査読あり
  • [学会発表] ヘミングウェイと1930年代のアフリカ-創造されたアフリカ先住民に見るヘミングウェイの人種意識2008

    • 著者名/発表者名
      本荘忠大
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会北海道支部第133回研究談話会
    • 発表場所
      藤女子大学
    • 年月日
      2008-11-29
  • [図書] アメリカ文学における階級-格差社会の本質を問う2009

    • 著者名/発表者名
      本荘忠大
    • 総ページ数
      227-243
    • 出版者
      英宝社

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi