研究課題
本研究は、17世紀から18世紀にかけて修辞学理論が変化する過程を、批判的に検討することを目指している。具体的には、17世紀後半からフランスにおいて数多く出版された修辞学関連文献を、ボワローとロンギノスの「崇高論」の受容、感覚論哲学の発展などの多角的視点によって分析し、その変化の内実と背景を浮かび上がらせることが目的である。本年度の研究は、以下の2つの方法にもとづいている。1、8月に長期出張をおこない、パリ国立図書館において17-18世紀の修辞学関連文献を調査、分析した。(その成果として、別記論文・図書、「近代国家の成立と教養教育-高等教育に関する社会史的考察」、『教養とは何か』等を執筆した。)2、18世紀におけるフランス語修辞学の発展において、思想的背景として重要な役割を果たした「崇高」、「エネルギー」の概念について考察をおこなった。その内容は以下のように要約される : 18世紀における思想的鍵概念の一つとして知られる「エネルギー」については、ミシェル・ドロンの『エネルギーの概念(1770-1820)』が知られている。しかしながら、ドロンの研究が18世紀後期から革命期にかけての文学作品を対象にした文学研究であるのに対し、本研究では、「エネルギー」概念の科学史的考察を含めて、近代思想史の発展に「エネルギー」を明確に位置づけることを試みた。特に、17世紀後半から19世紀にかけて、イギリスとフランスにおいて出版された辞書・辞典の項目を比較検討することによって、「エネルギー」概念の発展を実証的に検証した。(その成果は、2009年2月、マサチューセッツ工科大学(PSFCセンター主催・JST協賛)における招待講演で、「A History of "Energy" in Modem Age」という題目にて発表した。講演の内容は、2009年度中に、書籍として出版される予定である。)
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「20世紀における恐怖の言説」(科学研究費研究成果報告書研究代表者 : 名古屋大学国際言語文化研究科教授田所光男) (印刷中)
アリーナ(中部大学国際人間学研究所) 5号(印刷中)
日本フランス語フランス文学会中部支部報告集(日本フランス語フランス文学会) 32号
ページ: 1-10
Etudes de langue et litterature francaises, (日本フランス語フランス文学会) 93号
ページ: 19-37
http://www.isc.chubu.ac.jp/chukoken/achievement/index.html