本研究においては、17世紀から18世紀にかけて修辞学理論が変化する過程を、批判的に検討した。具体的には、17世紀後半からフランスにおいて数多く出版された修辞学関連文献を、ボワローとロンギノスの「崇高論」の受容、修辞学における「エネルギー」概念の発展、文化的ナショナリズムの問題など多角的視点によって分析し、その変化の内実と背景を明らかにした。最終的な成果としては、修辞学を啓蒙期という特定の時代的コンテキストに位置づけることにより、「言語」と「言語」を司る審級となる「法」の問題という、人文学における最重要課題に取り組み、雑誌論文6本と著書(共著書等含む)4本を発表した。 研究方法としては、2008年度、2009年度ともに8月に長期出張を行い、フランス国立図書館で調査を行ったほか、慶應義塾大学図書館等国内の大学図書館に所蔵されている資料を用いて考察を深化させた。
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