平成21年度に本研究が予定していたのは次のような作業であった。 ・ 前年度に引き続き、香港・台湾・中国における明末白話短篇小説「三言」等の映像化作品及び翻案作品について調査する。ただし、他地域に渡るため、香港、台湾、中国での調査をおこなう。 ・ 以上の結果を基に、データベースを作成する。 ・ 昨年度の論文に引き続き、個々の事例の分析をおこない論文として発表する。 しかし、研究代表者の妊娠悪阻の状態が悪く、時間が経過しても体調の回復があまり見られなかった。日常の研究生活に制限があるのに加え、海外での調査は母体と胎児の保護をするためには控えなくてはいけなかった。現地調査だけでなく、個別の分析も論文として作成する段階まで深めることはできなかった。 本年度は、いくつかの資料を引き続き収集したが、図書館を通じてしか行うことはできなかった。したがって昨年度までの資料と本年度の資料をデータベース化するために必要な装置を購入し、一部をファイル化したに止まった。 また、昨年度発表した論文の内容を発展させるべく、中国の古典小説の映像化作品の中でも特に「杜十娘」について、複数の映像化作品の比較、脚本の検討などを行ったが、残念ながら論文化するには至っていない。 研究代表者の出産、育児休暇からの復帰を待って、本年度本来する予定であった作業を続行し、最終年度のまとめの作業に入りたいと考えている。その際は、昨年度の調査の過程において、発見した、韓国における中国古典小説が享受の状態についても言及できるように、調査地域を広げる予定である。
|