本研究の主要な目的は、中華人民共和国の映画史と伝統演劇の関係性のあり方や変遷を明らかにすることであった。研究成果としては1.1950年代以降の戯曲映画の特徴としては、当時の劇映画では題材として取り上げられることはなかった俗文学を原作とする内容が扱われた点、政治的な動機をもたない恋愛感情を描くことも容認された点、特撮などを駆使して非リアリズム的な演出を積極的に導入していた点などが指摘できること2.文化大革命時期の戯曲映画は政治至上の特異な時期の産物として位置づけられているが、実際にはそれ以前の映画作品と密接な継承関係をもっていること、などが明らかとなった。
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