研究概要 |
イテリメン語を含むチュクチ・カムチャツカ諸語(チュクチ語,コリャーク語,ケレク語,アリュートル語)の系統関係および接触・借用関係を明らかにし,言語接触と言語変化のプロセスの解明に迫るため,資料が少なく解明の遅れている「イテリメン語」について,これまでに出版されたテキスト及び実際にフィールド調査によって得られた一次資料である「音声データ」「映像データ」に基づき「イテリメン語テキストコーパス」の整備を行った。また、作成したテキストコーパスに基づき,イテリメン語における様々な言語現象を調査し,文法の記述研究を進めること,特にこれまで明らかになっていない動詞の人称表示の現れ方について,それぞれの人称接辞が現れる文および文脈の情報を蓄積して分析を行い,どの接辞がどの人称を表すのか,またどのような場合に現れるのかを明らかにした。 具体的には、過去に記録されたアナログオーディオテープによる録音音声や,アナログビデオテープによる録画映像のデジタル化を行い,過去に記録されたDATによる録音音声や,デジタルビデオテープによる録画映像をコンピュータで処理できるように加工し,音声を抽出して,イテリメン語テキストの文字起こしを行った。また,これまでに出版されたイテリメン語テキストを収集し,引き続きコンピュータによりテキストを入力して電子データ化を進めた。さらに平成22年8月~9月に,イテリメン語話者の居住地であるロシア連邦カムチャツカ地方チギリ村においてフィールド調査を実施した。ここではイテリメン語話者との面接調査,複数の話者による会話の録音・録画,単独の話者による録音・録画を行い,新たなイテリメン語音声データおよび映像データを収集した。本調査では,合計約40時間分の録音データおよび約2時間の録画データが得られた。また電子化処理・加工したイテリメン語テキストを分析して,その成果を論文として発表した。
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