• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

構文拡張における人称代名詞の非指示化と非現実ムードの関係性について

研究課題

研究課題/領域番号 20720103
研究機関東京大学

研究代表者

小嶋 美由紀  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (10431777)

キーワード構文理論 / 命令 / 1人称代名詞 / "〓" / 受益 / 拡張
研究概要

H22年度は、中国標準語において授与動詞から機能語化した"〓"を含む受益構文[N1+〓+N2+VP](N1がN2のためにVPする)の拡張現象に見られる、人称代名詞の非指示化とムード制約の関連について考察を進めた。
[N1+〓+N2+VP]という形式は、受益、使役(N1はN2にVPさせる)、受動(N1はN2によってVPされる)という異なる意味によって3つの構文に分けられる。これら3つの構文のうち、強い叱責口調を伴う命令文に用いられる構文[〓〓我VP](例:〓〓我〓嘴!「黙れ!」)は、次のような統語的、意味的根拠に基づいて、受益を表す[N1+〓+N2+VP]から派生したものであると認められる。第一に、命令構文[〓〓我VP]の主語名詞句"〓"は受益構文における主語名詞句同様、動詞句VPが表す行為の動作主である。一方、使役構文や受動構文の主語名詞句は動作主ではない。第二に、被命令者が命令された行為を遂行することが命令者の願いを叶えることを意味し、話者の利益と繋がることから、受益表現と命令表現の間には概念的な結び付きが認められる。[N1+〓+N2+VP]は、N1があらかじめ設定された目標(受益者)N2に対して動作行為を行うことを表す行為指向的な特徴を持つが、この特徴も命令構文への拡張を促した一要因と考えられる。この拡張は、他の受益者マーカーを用いた[N1+〓+N2+VP]や[N1+替+N2+VP]には観察されないことから、拡張に伴う非現実ムード範疇への制限に、"〓"が持つ「授与」の意味が重要な役割を果たしていると考えられる。
本研究は、「授与」を構文の意味に含む点で二重目的語構文や授与使役構文と共通する受益構文の拡張過程を考察することによって、その共通点を明確にすると同時に、受益構文独自の特徴をも明らかにした点で、中国語の人称代名詞体系とムード体系、更には両者の相関関係の解明に寄与したといえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 受益構文[N1〓N2+VP]から命令構文[〓〓我VP]への拡張2010

    • 著者名/発表者名
      小嶋美由紀
    • 雑誌名

      現代中国語研究

      巻: 第12期 ページ: 50-58

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi