8月、9月の調査前まで、これまで収集したドム語語彙を整理し、現地調査では伝統行事に関する語彙・表現のほか、前年度に引き続き植物の名称や利用方法について聞き取り調査を行なった。以上のテーマを軸にした自然発話をMarantz PMD660(録音機)+AKG C1000Sで録音、重要なものについては話者と協力しながら書き起こした。写真による記録も行なった。 また、これまで主に関ってきたグミネ地区のドムのほか、シネシネ地区とのドムとも接触し、ドム内の方言差についても情報を得ることができた。語彙的な相違だけではなく分節音やトーンの音声的実現における相違があることが分かった。 2月、3月にかけて基盤研究(B)#20320065(研究代表者大西正幸)の予算でシンブーを中心に現地調査、ドム周辺地域の言語方言踏査を行なった。この際、GPSにより地理的情報のデータも得、言語/方言境界の輪郭や地域特徴の分布がさらに詳しく分かってきた。この調査と他のシンブー諸語地域でなされた先行の植物学的調査の結果を対照することで、8月、9月に収集したデータの一部の植物学的同定が可能になった。
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