本研究の目的は、「壁にペンキを塗る/壁をペンキで塗る」のような交替現象が起こる仕組みを明らかにすることである。従来の理論では、交替を起こす動詞(ex.塗る)と交替を起こさない動詞(ex.付ける)の違いが十分説明できていなかったが、本研究では動詞の範疇的語義の階層性に着目した新しいアプローチを考案し、これによって両者の違いを説明した。 さらに本研究では、上述のアプローチが、いわゆる「壁塗り代換」だけでなく、他のタイプの交替現象にも適用できることを明らかにした。また、日本語だけでなく、英語の交替現象にも基本的に適用可能であるという示唆も得られた。
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