研究課題
本研究の目的:交付申請書に記載した通り、本研究の目的は、近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷を記述することにある。具体的な内容:「~テイルの発達」「動詞基本形の<未来(以後)>への移動」「~ウ・~ウズ(ル)の減少」「~タの<過去(以前)>形式化」という近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷を記述し、その背景として、「「~テイル」の発達によって<状態-非状態>というアスペクト体系が獲得され、それに伴って<現在><過去><未来>がほぼ専用の形式で表し分けられるようになること」と「主節の従属節に対する支配が強くなったこと」の2つを指摘した。これらの成果により、当初の目的を達成したといえる。研究成果の公表:国立国語研究所のNINJAL共同研究発表会において、本研究の総まとめに関する発表を行った。また、本研究の成果は、『日本語文法史研究の最前線』(ひつじ書房、2011年秋刊行予定)に、「~テイルの成立とその発達」というタイトルで、論文の掲載が決定している。ここにおいて、3年間の成果をまとめて発表することになる。※ただし、書名等は、出版社の意向により急遽変更になる場合がある。意義:中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系を明らかにしたことで、テンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷が考察可能となり、交付申請書の記載通り、他言語との対照が可能となった。重要性:「近代日本語の歴史的変化を類型論的な観点から記述する」という研究が現実的なものになった。なお、この類型論的な研究を確実に進めるべく、2011年度は、アメリカのシアトルにあるUniversity of WashingtonのDepartment of Linguisticsで、Visiting Scholarとして、1年間の研修を行っている。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
『日本語文法史研究の最前線』(ひつじ書房、2011年秋刊行予定)※論文集である。
ページ: 本研究の総まとめであることから、30は超過する。