~テイル、スル、~ウ・~ウズ(ル)によって構成される中世末期日本語の体系を明らかにした後、「~テイルの発達」「動詞基本形の〈未来(以後)〉への移動」「~ウ・~ウズ(ル)の減少」「~タの〈過去(以前)〉形式化」という近代日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷を記述し、その背景として、「「~テイル」の発達によって<状態-非状態>というアスペクト体系が獲得され、それに伴って<現在><過去><未来>がほぼ専用の形式で表し分けられるようになったこと」と「主節の従属節に対する支配が強くなったこと」の2つを指摘した。これらの成果により、当初の目的を達成したといえる。
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