研究概要 |
平成20年度は、本研究の最初のステップとして、年齢と第二言語習得の関係についての英文文献をまとめ、和文論文として発表した(論文表題 : 第二言語習得における臨界期仮説・年齢要因-日本語を対象とした研究に向けて-)。年齢と第二言語習得の関係については、海外では近年研究が進んでいるものの、英文での報告がほとんどである。本研究の前提となる第二言語習得研究の理論背景を、日本語でまとめておくことは、本研究の意義を幅広い層に理解してもらうために大切なステップである。次のステップとして、本調査の研究手法について検討した。本研究では、子どものバイリンガル言語能力の測定のために、言語習得研究の世界では国際的に用いられているFrog, where are you? という文字なし絵本を用いてデータを収集している。そこで、同じ絵本を用いて行った言語習得研究の研究方法を幅広く検討した。これは、できるだけ本研究の成果を、日本語以外の言語を対象とした言語習得研究と照らし合わせるために、先行研究で最もよく用いられている手順を明らかにすることが目的であった。その後、その手順に沿って、横浜市在住のベトナム系児童のバイリンガル言語能力の調査(日本語およびベトナム語)を行い、同時に彼らの言語習得環境についてのインタビューを行った(データは、在日ベトナム系児童1年生8名、6年生9名、及び、日本人児童7名分)。平成21年度は、そのデータの分析を行っている。 また、本研究の成果を教育現場に還元するために、その教育的意義を、学会発表(2件)という形にまとめた。
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