1.日本語分析ストラテジーの細分化 前年度までの日本語分析ストラテジーマップを元に、例文から情報収集する例文分析行動を中心に詳細な記述を進めた。具体的には、ストラテジートレーニング教材の試用で収集したプロトコルから、教材使用者の類義語分析での例文分析行動と、例文分析内容を調べた。また、例文とそこから得た情報との関連性に着目し、例文内容の言語化に関する問題点を探った。以上より"例文内容の背景や前後文脈を詳細に説明する"というストラテジーを新たに設定し、トレーニング内容の充実化を図った。 2.ストラテジートレーニング教材の作成と問題点の把握 前年度に続き、日本語分析ストラテジーの効率的習得を促す独習型トレーニング教材を、プレゼンテーション用ソフトウェアを用い作成した。特に、例文分析から言語特徴分析への展開が円滑に進み効果的なものかという点を中心に探った。1で検討したストラテジーの教示と練習課題を、独習型教材に新たに組み入れた。そして、非教師の日本語母語話者への試用で、教材使用前後の日本語分析行動の変化を観察した。その結果、十分な例文分析を介さず例文作成から言語特徴分析への直接的移行が見られることや、例文分析で述べた事がらと言語特徴分析での言及内容に大きな違いがないことなどの問題点が把握できた。また、教材では具体的かつ詳細に言語特徴を説明するよう求めたが、実際には意味特徴が簡潔に説明される傾向が見られた。例文分析を容易にするストラテジーの段階的指導、例文分析をふまえ詳細かつ具体的に言語特徴へとまとめる分析技術の向上については、教材に改善の余地を残した。
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