H20年度は鳴門教育大学附属小学校の5年生を対象にコミュニケーション能力面接テストを実施した。当初、当該小学校の教員に評価者としての参加を依頼する予定だったが、面接テストでの使用英語の適正さを客観的に判断してもらうために、英語母語話者3名(小学校英語・児童英語指導経験のある大学非常勤講師2名/ESL指導経験のある大学院生1名)に評価者として、評価者訓練、面接テスト、リコールセッションに参加してもらった。 評価者訓練では、申請者が面接テストの評価項目、評価尺度、実施手順を詳しく口頭説明し、評価者が十分理解したことを確認してから面接テストに臨んでもらった。参加者は5年生110名、評価者は申請者と前述の英語母語話者3名の4名。それぞれの評価者の面接テストはビデオ撮影され、他3名の評価者は、後日その録画ビデオを見て評価した。その結果、評価者間信頼性は決して高いものではなかった(今後信頼性係数を求める)。 原因としては、次の3つ挙げられる。まず一つは、面接テストは評価者が児童にタスクを課して、発話を促す方法で行われたが、評価者が発話を促すのに費やす時間や手段に差異が生じ、それが児童の発話量、さらには評価者の評価にも影響したようである。二つ目は、参加者が小学5年生だったため、評価項目の発音や正確さ、コミュニケーション方略能力を測れる程の発話が見られなかったことにあるようだ。最後に、評価者訓練の実施方法に問題があったようだ。口頭説明だけではなく、評価者にモデル面接テストで実際に評価してもらい、それぞれの評価者にテストの実施手順に対する誤解や、設定された評価尺度から逸脱した評価をするなどの傾向があれば、訓練中に訂正の必要がある。特に最後に挙げた評価者訓練におけるモデル面接テストの実施は、今後、コミュニケーション能力テストの実施経験の浅い小学校教員が評価者となる場合、不可欠だと言える。
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