研究概要 |
本研究は小学校英語活動における児童の不安の実態を探り, 不安の学びに及ぼす影響を探るとともに, いかなる教師からの支援が児童の不安を緩和し, 不安や緊張を乗り越えて英語活動に参加しようとする意欲へと繋がっていくのかを検討することを目的としている。本年度は主に2つの調査を実施した。第1に児童が英語活動中に不安を感じているのかどうかを学級担任(HRT)の認識から探ることを目的として, HRT122名を対象とした質問紙調査を実施した。得られた主な結果として次の3点が挙げられる。1, 有効回答のうち25%の教員が「英語活動中に英語での発表を嫌がったり, 消極的であったりする児童」が「かなりいる」と回答し, 「5人程度いる」, 「3人以下だがいる」を含めると約99%のHRTが英語での発話を嫌がる児童の存在を認識していた。2, 発表を嫌がる理由として先の有効回答者のうち約60%が「英語に対する自信のなさ」を挙げていた。3, 授業中に児童が不安を感じる場面としてHRTが認識しているのは「みんなの前で一人で発音する場面」である。この結果から, ほとんどの学級において英語活動に消極的である, あるいは発話を嫌がる態度を見せている児童が存在していることが明らかになり, 何らかの支援の必要性が示されたと考える。また, いかに自信をつけさせるか, 自信を持って発話活動に臨むためにはどのような事前ステップを踏むべきか, が児童の心理面に配慮した授業づくりのヒントになるであろうことがHRTの意見から推察された。第2の調査では, 外部講師として小学校英語活動に関わる教員へのインタビュー調査を実施した。それによりHRTとはまた異なる日線からの児童の様子を知ることができた。これらの調査から21年度に実施する質問紙の項日作成のための貴重な情報を得ることができたと考える。
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