研究概要 |
本研究は小学校英語活動における児童の不安と学習意欲や不安への対処傾向との関係を探るとともに,いかなる教師からの支援が児童の安心した学びに有効であるかを検討することを目的としている。本年度は以下の2つの調査を実施した。 1. 昨年度実施した質問紙調査の結果と先行研究をもとに,5年生,6年生の児童を対象とする本調査用紙を作成した。質問紙は「不安の有無および強さ」,「英語活動への好意や意欲」,「不安生起場面における対処傾向」,「平常時および不安時に教師に望む支援」の4つのパートから構成され,全て5件法での回答を求めるものとした。そして,この質問紙への回答を新潟県,東京都,広島県にある9小学校に依頼し,21年度内にすべての回収を完了した(分析は22年度に行う)。 2. 20年度に実施した教員を対象としたインタビュー調査の結果から「教員自身の英語活動指導に対する自信のなさや授業への不安が適切な児童への目配りや支援を困難にしている可能性」があると考えられたことを受け,21年度には小学校教員養成課程の4年次に在籍する学生(92名)を対象に,彼らの英語活動指導への不安といかなる研修(授業内の学び)が不安軽減に役立つのかについて自由記述を含む質問紙調査から検討した。その結果,授業内で用いられる活動に関する知識を増やし,学級担任としての役割を学んでいくことによって,ほとんどの学生が指導への自信と意欲を向上させたが,その一方で,履修前の最大の不安であった「英語力」への不安はあまり解消されなかった。現職教員を対象にした調査を実施し,自身の英語力や授業への不安軽減がいかに児童への指導に反映され,児童の安心した学びにつながるかが今後の研究課題である。
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