擬似初心者21名を対象に1年間定期的に多読指導を行った結果、多読は擬似初心者の授業参加へのモチベーション向上、英語読書への興味・自信、英語読書量の蓄積という点において、リメディアル教育として大きな可能性を持っていることが確認された。また、一定の条件が揃った場合、擬似初心者は多読を通して未知語の学習を行うことも可能であり、その学習成果が多読終了後に定着し得ることも確認された。しかしながら、構文理解力、語彙力が低い擬似初心者は、困難を伴わず読める多読図書の難易度が限定されており、先行研究等で提唱されている「多」読の量を確保することは難しく、多く読むことで生じるとされている多読指導による英語力向上も期待することは難しいことが明らかになった。擬似初心者を対象とした多読指導では、多く読ませるための支援が不可欠であり、特に単語増強、構文理解のサポートが別途必要であることが示唆された。
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