アメリカは日中戦争期にソ連が唯一の主要な中国支援国となることにも警戒感を見せず、独ソ不可侵協定後も極東ではソ連が中国を支援し続けると考え、日ソ合意の可能性は乏しいと認識していたことが明らかになった。その結果、アメリカはドイツがヨーロッパで攻勢を開始しても、対日強硬姿勢を変えず、日本の攻撃を恐れるオーストラリアを困惑させた。アメリカが自らの積極的関与を避け、日中戦争の継続を支持する姿勢を示したことは日中英関係の全面的解決を望んでいたオーストラリアをして次善の策として日中戦争の継続を支持せざるを得ない状況に追い込み、太平洋における宥和の可能性を小さくしたと言える。
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