1、朝鮮王朝時代の国王喪葬儀礼について記す『国朝五礼儀』凶礼部分の注釈作業をおこない、その一部を論文「『国朝五礼儀』凶礼試釈-東アジア儀礼文化の比較歴史学的研究をめざして-」にまとめた。論文作成にあたっては、唐代皇帝喪葬儀礼について記す『大唐元陵儀注』との関係を念頭におき、今後の詳細な比較研究の土台となるものをめざした。 2、奈良時代儀礼を復原する上で重要な参考資料となる正倉院宝物に関して検討をおこない、論文「正倉院文書調査の過去と現在」および論文「麒麟の頭は誰の作か」をまとめた。また関連する資料(橋本謙一氏所蔵資料)の調査および釈文作成をおこなった。 3、日本古代の喪葬儀礼を考える上で重要な史料となる墓誌について、墓誌出土地の踏査をおこない、また周辺諸国における考古学成果などをふまえて再検討し、「日本古代墓誌の系譜」と題する研究会報告をおこなった。本報告での視点を足がかりに、出土遺物に着目した比較研究の可能性を模索している。 4、中国の西安郊外において唐代皇帝陵の踏査を実施した。元陵をはじめ、橋陵・恵陵・泰陵・高力士墓・永康陵・荘陵・貞陵・昭陵・建陵などを訪れ、『大唐元陵儀注』の記載との関連を中心に、儀礼空間の検討をおこなった。また韓国の釜山・大邱・慶州において史跡・遺物の調査をおこなった。 5、律令制・儀礼史・正倉院関係図書を中心とした資料の収集をおこなった。
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