筆者は、これまで仙台藩伊達家を主たる対象に3つの観点から名前研究を進めてきた。第一に、同藩における禁字法令の創出過程とその歴史的背景を探ることで藩主家と家臣団との関係について考察した研究、第二に、身分・階層と名前との関係性について官途・受領名をめぐる問題から迫った研究、第三に、武家の家内秩序と呼び名との関係についての研究である。 本研究では、こうした法による人名統制という問題を単なる個別藩レベルに止まらない近世社会全体の特質として描き出すため、仙台藩に見られるような名前をめぐる諸法令の存在を全国規模で確認しその概要把握を行うとともに(課題(1))、より多くの大名家等について個別具体的な検討を行うことを最終的な課題(課題(2))として研究を進めてきた。
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