本研究の成果としては、(1)名前に関する新たな史料を発掘し整理することができたこと、(2)さまざまな藩の名前に関する法令の存在を明らかにすることによって、仙台藩に見られたような法による人名統制という問題が単なる個別藩レベルに止まらない近世社会全体の特質であることを確認できたこと、(3)列島各地における具体的な人名の把握に努めることにより、名前をめぐる慣行の地域差が浮き彫りになったこと、(4)近世の武士身分が置かれた社会的な状況の変化について、名前、身なり、供連など、身分を表象する事柄を切り口に描き出すことができたこと、(5)本研究を通して新しい研究テーマが見つかったことの5点が挙げられる。
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