本年度は、資料の収集を重点的に行うとともに、関係資料の揃った部分から研究に着手した。 資料収集については、主に国会図書館憲政資料室の関係史料を調査・収集した。具体的には、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)民間情報教育局(CI&E)教育課中等教育班の史料について調査・収集した。この史料群については占領前期の研究は進んでいるが、本研究が対象とする占領後期(一九四八年以降)については不分明な点が少なくない。そこで当該期に焦点を合わせて史料の調査・収集を行った。また、補足史料として、横浜市が所有する森戸辰男関係文書(元文部大臣・中央教育審議会委員)の調査を進めた。 研究については、「戦後教育改革と中央教育審議会-第1回答申(義務教育に関する答申)の形成過程を中心に-」(『広島大学文書館紀要』第11号)において、新学制に対する当該期の中央教育審議会の認識をまとめた。本論文では、発足当初の中教審と文部省の微妙な関係を明らかにするとともに、戦後教育改革に対する中教審のスタンスを明らかにした。史料的な限界から中教審の審議過程に踏み込んだ先行研究がほとんどないため、今後、研究の進展が期待される分野と考えている。 また、派生的な問題ではあるが、新制大学と地域の関係について分析を行い、全国大学史資料協議会2008年度全国研究会において研究報告を行った。
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