研究概要 |
本年度は前年度に調査・収集した史料について、以下の1,2のように整理と補充調査等を実施した。地域帰属意識の形成に関係する文献収集についても、前年度から継続して進め、松沢裕作『明治地方自治体制の起源』については、研究会で書評した(於内務省研究会・条約改正と国家形成研究会)。これらにより本格的な分析の基盤が整い、次年度には論文等の形で成果を公表できるだろう。 1. 郡役所関係史料の収集・整理・調査 (1) 前年度に所在詳細調査をした「度会郡公報」(明治期451号分・大正期646号分)について、伊勢市史編さん係の協力を得てデジタルカメラで撮影した。 (2) (1)について、アルバイトを使って記事目録の作成に着手した。その結果明治36年~41年、44年・45年、大正元年~5年、8年~12年の記事目録が完成した。 (3) 度会郡以外に三重県内で発行された郡公報について、三重県史編さん室で調査と撮影を行った。県内のほぼ全郡で郡公報の発行を確認でき、そのうち残存状況のよい一志郡公報と飯南郡公報の撮影を開始し、度会郡公報との比較分析を次年度行う。 (4) 明治10年代末の郡役所について、制度取調局の実地調査報告書を国立公文書館で閲覧した。地方行政の拠点として、郡役所に何が求められていたかを解明できよう。 2. 郷友会(同郷団体)関係史料の整理・収集 (1) 前年度に収集した度会郷友会発行の雑誌『度会』について、記事目録の作成に着手した。郡域を単位とする私的な団体の活動について、実態の解明が期待できる。 (2) 全国各地の同郷団体が戦前から戦後にかけて運営してきた奨学事業について、とりわけ郡域単位のものに関する基本的なデータを、国立国会図書館で収集した。
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