平成20年度は、幕臣の任用動向が判明する履歴史料の収集・調査を中心に作業した。とくに国立公文書館内閣文庫所蔵(多聞櫓旧蔵)「(幕臣)由緒書」をマイクロフィルムにて撮影し紙焼きをおこない、これをもとに幕臣の履歴データベース作成を進めた。当該史料群は幕臣約800家歴代の履歴史料であり、幕府役人個々人の任用(就任・退任、転任、兼任など)動向が把握できる貴重なものである。平成20年度はこのデータベースの作成に重点をおいて作業をおこない、次年も継続して作業を進める。また、上記史料群のような幕臣個人としての"由緒書"以外にも、幕府における各役職ごとの変遷が判明する"由緒書"についても収集・調査をおこなった。とくに国立公文書館・国立国会図書館・江戸東京博物館を中心に、資料の収集を進め、目下分析中である。この作業によって、役職そのものの設置・廃止・改組の理由を検討し、幕府任用制の変化の概要を組織の面から明らかにする。
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