(1)研究目的:本研究では、第一に、北東北諸藩(具体的には、弘前藩・南部藩・八戸藩)の藩庁日記に登場する松前・蝦夷地関係記事を網羅的・体系的に把握し、データベース化を行うことを目的としている。そして、第二に、その作業を通じて、近世期の松前・蝦夷地をめぐる政治的・社会的・経済的・文化的な状況に関して、新たな事実と論点を提示することも目的としている。特に、近世期の北海道を対象とする研究、それも近世中期までの時期を扱った研究においては、松前藩政に関わる文書や藩領域内の地方文書の不足に基因する史料的な限界が指摘されており、本研究を通じて把握する資料によって、その「限界」が多少なりとも克服されることが期待される。 (2)調査方法:弘前藩の『弘前藩国日記』3300冊余(寛文元年~元治元年)、南部藩の『雑書』(寛永21年~天保11年)180冊余、八戸藩の『八戸藩日記(御目付)』(寛文5年~明治2年)250冊余・『御勘定所日記』(貞享2年~明治元年)110冊余を悉皆調査し、松前・蝦夷地関係記事を抽出する。そして、松前藩側の関連史料や、この三藩に関わる藩庁日記以外の関連史料についても調査を実施する。
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