研究課題
今年度は、昨年度に引き続きフルテキストデータへのタグ付け作業を行い、さらにその公開準備・分析開始にこぎ着けた。タグ付きデータの公開は、「木簡画像データベース・木簡字典」に反映させることとし、また「木簡人名データベース」とも連携が可能なようにシステムに改良を加えている。このデータによって、「意味」から木簡を検索することが可能になるほか、意味を経由してのリンクなど木簡の持つ情報をより自由に、効率よく検索し、検討することが可能となった。なお、XMLデータの「木簡字典」での公開は、サーバの入れ替えなどの都合で遅れている。分析作業は、桜美林大学・耒代誠仁氏にシステム開発を依頼し、共同で作業を進めた。3月中の開発終了を目指していたが、東日本大震災による計画停電などによる開発作業の遅延により、現在試作システムの開発が終了し、実験を行うところまでに留まっている。なお、この作業の前提として、木簡字典が利用している木簡画像データを参照し、タグ付きテキストデータに木簡画像上の位置情報を取得するシステムを開発したが、その改良作業も行った。実験段階ですでに興味深い成果が確認できている。以下、数例を挙げる。郡名出現分布の偏り:地名の出現する場所よりも、偏った分布を見せる。地名の分布は、木簡の下端以外のほぼ全域に分布するが、郡名は木簡のほぼ中央か、そのやや上部に偏る。人名出現分布の偏り:木簡の中央付近と終わりの方に偏りがみられる。特に、木簡の下端付近に人名が頻出する点は、これまで見落とされてきた特徴といえるであろう。木簡の上下方向のみならず左右方向のデータも蓄積しているが、ビジュアルな表現に成功していないためまだデータとして優位な分布を示す方向性を見いだせていない。実験・検証作業段階で、すでに上記のような興味深い知見を得ることができた。今後、より詳細な分析を積み重ね、公開していきたい。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 5件) 備考 (1件)
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史跡で読む日本の歴史4 奈良の都と地方社会(佐藤信編)(吉川弘文館)
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史跡で読む日本の歴史4 奈良の都と地方社会(佐藤信編)吉川弘文館
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http://hiroba.nabunken.go.jp/index.html