本研究は、19世紀オスマン帝国の改革を、中央政府と地方社会の相互作用の結果として生じたものとして捉え直すものである。その主たる成果として、地方評議会の機能、地方反乱の性格や背景、地方住民の官僚機構への進出などを分析し、地方住民が国家の政策に影響を及ぼす、あるいは、国家システムに参入する回路についてその具体的諸相を明らかにしたほか、中央政府が地方行政の問題に関する政策決定過程において地方官らに諮問する手続きがとられたことや、1845年の地方代表者会議に見られるように、地方有力者の協力を得るために周到な準備をしていたことなどを見いだした。
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