研究は基本的に文献史料に依拠して行い、対象時期を明代後半から清代初期の16-17世紀に限定する。研究のための視点として、「海域」・「陸域」・「海と陸をつなぐもの」という三種のアプローチを試みる。20年度には広東・海南周辺海域、21年度以降には雲南や広西等、地方官府や土司の動向に焦点をあて、中越両国間の民間交流の実態を明らかにする。中国の地方志・上奏文・文集、ヴェトナム側の史籍としては各種史書・政書、そのほかヨーロッパ人による文献としてHakluyt叢書及びイエズス会年報・書簡集等を精査する。中国は広東・広西・澳門、ヴェトナムはハノイの漢喃研究院、リスボンおよびゴアの文書館等で文献調査を行いつつ、現地の研究者と情報の交換をはかる。期間前半にヴェトナム語、後半にポルトガル語の習得に努める。また、ヴェトナム文献の読解のため、チュノムについても現地の研究者の教示を得ながら身につける。
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