1年目20年度は、日本国内・国外に所蔵されている档案・地方志、及び中国北京にある中国第一歴史档案館(以下、档案館と略記する)に所蔵されている档案の予備調査に重点をおいた。 国外では、10月下旬〜11月上旬に档案館で調査を行った。ただし、本年度の研究における主要史料である「密本档」・「兵科史書」といった未公刊の満洲語档案については、档案館の事情により閲覧が許されなかった。そのため、電子化された康煕期の広東山間地統治に関する漢語档案の収集を行った。同時に、档案館に所蔵された満洲語档案の目録と、研究代表者が作成した満洲語档案の目録とを照合する作業を行うことによって、後者の目録の内容が正確であることを確定できただけではなく、次年度以降において収集あるいは調査すべき資料を決定することができた。 国内における調査としては、12月上旬及び3月中旬〜下旬に、国内(名古屋・東京)の図書館において清代広東山間地に関する資料、具体的には公刊された档案・地方志、及び書籍・論文を収集し、それらの資料について筆写・電子複写・デジタルカメラによる撮影を行った。 上記の調査に際しては、年度当初に購入したデジタルカメラを用いることにより、可能な限りの大量な資料を確実に収集することができた。これ以外に、広東山間地に関する認識を深めるために、清代広東山間地とそれに関連する清代地方政治史関係の資料・書籍の購入を行った。 なお、上述した1ヵ年の研究を通して明らかとなった広東山間地に関する論文の執筆に年度末において着手した。
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