(1)足立氏曾孫鶴田温子氏所蔵足立喜六氏関係資料の調査 足立喜六氏の長男の子である鶴田温子氏所蔵の足立喜六氏の遺品に関する調査をおこなった。鶴田氏はこの10年ほどの間に祖父の遺品の整理をしている。所蔵品には『長安史蹟の研究』に掲載もしくは別アングルからの焼き付け写真やガラス乾板、拓本類などがあった。また、詳細な足立氏の履歴もまとめられており、今後の本研究課題の調査に有用な情報を多く得られることができた。 (2)「唐昭陵の六駿」に関する米国ペンシルバニア大学博物館アーカイブズでの調査 『長安史蹟の研究』に写真が掲載されている唐昭陵の墓道に配置された六駿(六頭の馬のレリーフ)のうち4枚は碑林博物館、2枚はペンシルバニア大学博物館におさめられている。近年、博物館のアーカイブズから、大学がこのレリーフを購入した際に、骨董商との間でかわされた書簡が発見、公表された。そこで、現地資料調査をおこない、1918年~21年にかけての骨董商C.T.LOOと博物館長ゴードン氏の書簡を確認し、300枚以上の資料を撮影した。 (3)近代西安の文物保護事業の研究 大秦景教流行中国碑流出未遂事件、古物保存法の施行、中央古物保管委員会、西京西京籌備委員会、西北芸術文物考察団、陝西省歴史博物館等の事件・機関についての梢案史料をもとに、「西安文物保護事業年表(稿)」を作成した。 (4)成果の社会還元 日本学術振興会「ひらめき☆ときめきサイエンス」の一環として「中国の古都・長安へのタイムスリップ-古写真の語る歴史-」を開催し、本研究の成果を高校生向けにわかりやすくレクチャーした(学習院大学、2009年12月)。
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