前年度までに収集した、チェスター・ビーティー図書館、オクスフォード・ボドリアン図書館、チュニジア国立図書館からのアイニー関連アラビア語写本のマイクロフィルムに加え、新たにエジプトのアラブ連盟写本研究所よりアイニーの主著『真珠の首飾り』直筆本のマイクロフィルムを入手した。これにより、現存する『真珠の首飾り』直筆本のすべてが手元に揃うこととなり、本書すべてを通した分析が可能となった。これらのマイクロフィルムは適宜読解・分析しつつ、必要に応じて電子化(スキャン)、印刷、製本を行っている。 成果の発表としては、当該年度はマムルーク朝初期の歴史に関する概説的文章の発表が1件あるのみであったが、近日中に(1)「バドルッディーン・アイニーの政治的キャリア」、(2)「マムルーク朝後期史料としてのアイニーの年代記」、(3)「マムルーク朝期の非著名知識人による社会的実践:アフマド・アイニーに関する事例研究」と題する論文を、各種学術雑誌に発表する予定である。
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