本年度は3年間の研究計画の初年度であり、今後の研究のための基盤整備と基本的な情報収集に重点を置いて研究活動を行った。研究計画に掲げた3つの項目に即して述べると、まず「A. 各入貢地に即した文献資料の捜索・整理と相互比については明朝の基本資料である『明実録』を中心に、関連する文献資料の捜索・整理作業を進行中である。その成果は、次年度の研究発表・論文執筆の形で公開すると共に、後述「C.」の中にも反映させる予定である。次いで、「B. 各入貢地における現地調査」については、2008年9月12日〜23日の雲南省(昆明・景洪・磨〓・〓西・騰衝等)現地調査、及び2月13日〜27日の遼寧省(丹東・瀋陽・開原)及び中国東南沿海地域(浙江省温州・瑞安、福建省福州・泉州・厦門、広東省広州)現地調査を実施した。前者により、単に明代の史跡を実見するのみに留まらず、雲南の持つ独特の自然・地理・歴史状況に触れることができた。同時に、現在の国境窓口(河口・磨〓・瑞麗・〓町)の状況を実見することができた。また後者により、関連する明代史跡の現状を確認すると共に、現地の研究者との協力関係も構築することができた。「C. 『明実録』に基づく網羅的な朝貢事例表の作成」については、まだまとまった成果を公開するには至っていないが、次年度以降の公開へ向けて、予備作業を進行中である。なお、関連する研究業績としては、論文"Foreign Policy and Maritime Trade in the Early Ming Period : Focusing on the Ryukyu Kiugdom"、及び研究発表「冊封体制と"勘合貿易"-日本史の呪縛を超えて-」がある。 やや作業が遅れているがウェブサイトも構築中であり、情報公開・情報交換の手段として活用してゆきたい。
|