本年度は、ドイツ・フライブルクの連邦軍事文書館およびベルリンの外務省政治文書館にて、関係史料の調査・収集・分析に重点を置いた。8月末から9月初旬にかけて3週間弱、上記の二つの文書館を訪問し、ドイツ総督府関係史料を撮影および印刷を行った。また、植民地戦争関連の国内外の文献の収集に努めた。加えて、ドイツの専門研究者に本研究プロジェクトの概要を説明し助言を乞うため、ドイツ語の研究計画書を作成した。次年度にこれを生かす予定である。 研究計画に記したとおり、本研究プロジェクトとの基礎作業として、7月に日本植民地研究会の大会パネルセッション「日本植民地都市における都市化と工業化」で、本研究プロジェクトに関係した報告を行った。日独戦争時の植民地における戦時体制構築とその社会への影響が本研究テーマであるのに対して、同報告ではドイツから日本へと植民地支配国家が交替する過程での植民地都市青島の都市化・工業化を主題とした。さらに、同様の基礎作業として、9月には社会経済史学会大会で、山東鉄道をテーマとした自由論題報告を行った。 10月以降、収集した史料を基に史料紹介および研究ノートを執筆し、学術雑誌に寄稿するための準備を行った。また、近年、植民地戦争の一例として注目されている義和団戦争期の青島駐留ドイツ軍の山東での軍事行動に関する論文を発表した。
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