本年度は、初年度の研究成果を学会・研究会で発表し、当該研究テーマに関連する専門研究者の批判・意見を乞いながら、ドイツ・フライブルクの連邦軍事文書館およびベルリンの外務省政治文書館でのフォローアップ調査を行うことに重点が置かれた。 まず、4月から7月にこれまでに日本・ドイツで収集した資料を分析し、その成果を慶應義塾大学経済学会および東洋文庫近代中国研究班でそれぞれ発表した。そこで、日本近現代史・中国近現代史研究者よりコメントを得た。とくに、収集・分析した史料の価値はもちろん、植民地戦争論および総力戦体制論の視角から日独戦争を論じる可能性について肯定的な評価を得た。 8月から9月は、当初、ドイツでフォローアップ調査を行う予定であったが、9月のドイツ現代史学会大会および11月の社会経済史学会中国四国部会での発表を控えることになったために、予定を変更し、それぞれの学会報告に際して、本研究テーマをより広い視野から論じるための準備にあてた。 12月から1月にかけて、フォローアップ調査の準備期間にあて、2月にドイツ・ベルリンおよびフライブルクで各文書館でのフォローアップ調査を実施した。また、この間に、年初の計画で予定したとおり、ドイツの研究者とコンタクトをとり、とくにフローレンス・ヨーロッパ大学S・コンラート教授と本年4月よりテユービンゲン大学准教授に着任予定のLee Youjae氏よりレスポンスを得た。Lee Youjae氏からは、2010年11月にソウルで開催される国際ワークショップでの本研究テーマの発表の依頼を受けた。
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