本研究は、平安期から鎌倉期にかけての、地方における造瓦組織のあり方、とくに、造瓦工人の移動や定着において、どのような事象が影響を与えたのか、また造瓦工人の管掌者や管理のあり方の変遷などについて、総合的な復原をおこなうことが目的である。 具体的な研究方法としては、まず全国の国府や国分寺、駅家などの官営施設や、また定額寺やその他の地方寺院の修造瓦など、当該時期に属する瓦のデータを取得していくこと、そしてそれを集成し検討することで、前項に記した研究目的を達成するための基礎資料としていくという手順になる。 とくに検討の対象としていくのは、平安後期~鎌倉期初頭の瓦陶兼業窯についてである。これらの瓦を実地に赴き資料を実見し、実測図を含めたデータを収集していく。当該期には播磨・讃岐・尾張などで集中的に瓦生産がおこなわれており、重点的に調査をおこなう。 特に本研究においては、瓦の文様的、また製作技法的系譜の追求をまずおこなう必要があり、必ず報告書に記載されているわけではない、細部の製作技法的特徴を、実地での調査で確認する必要がある。また、対象が全国におよぶため、各地の発掘調査報告書の閲覧を含め、地方での文献調査などもおこなう。
|