本年度は、第一年度目に引き続き、現地における資料調査と資料のデータベース化を進め、主に基礎的研究を行った。調査においては、都合三度中国へ渡航し、四川省文物考古研究所・四川省博物院・重慶市文物考古所・三峡博物館・貴州省文物考古研究所・貴州省博物館・中国農業博物館・南京博物院・広州市博物館のほか、四川省内の各県単位の文物管理所・博物館を訪問し、模型資料の実測・写真撮影、画像資料の撮影を行った。 この調査により、当初の目的としていた現地における資料調査をおおよそ終了することができた(最終年度に補完のため1~2度の渡航を予定している)°さらに収集資料について、観察結果・資料年代・出土地などの情報をまとめてデータベース化を進め、基礎データの作成を行った。そしてこれをもとに、型式学的研究や地理的分布の研究をすすめ、模型・画像資料の歴史的発展を把握し、基礎的な研究を確立することができた。 今年度の調査・研究は最終年度における総合的研究の下地を作ることが主であり、その準備ができたといえるが、これまで資料の集成がなされず分散したままで、かつ過去の発掘報告で図面・写真等正確に報告されていなかった一連の資料に対し、資料を集成してデータベース化し、不備のある資料状況を正確に把握することができたことが重要である。 このほか本研究に関して、本年度は論文発表4本・学会発表3件を行った。
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