研究概要 |
本研究は, マレーシア・サラワク州における河川水害の実態について, 現地調査をもとに詳細な基礎データを収集し, そのうえで災害予防あるいは減災のための方策について考察するものである。その一環として, 11月27日〜12月9日にかけて, 研究協力者とともにサラワク州での調査を行った。具体的には, サラワク州の主要河川であるラジャン川を広域的に観察し, 河岸侵食や洪水被害の地域ごとの差異を明確にした。その結果, 河岸侵食がもっとも顕著に現れているのは, ラジャン川の中流域であり, 現地住民としても何らかの対策の必要性を強く感じていることが明らかになった。 一方, こうした河川水害への対策として有効と思われるものの一つに, 日本の伝統的な河川改修技術がある。その技術が残っている新潟県においても研究協力者とともに訪問し,マレーシアの河川に詳しい技術者との意見交換を行ったほか, 信濃川・阿賀野川流域における河川改修工法の視察も行うと同時に, 彼らがラオス・メコン川流域において実施した国際協力プロジェクトの詳細について資料の収集を行った。 これらをもとに,日本の技術を海外に移転する際の問題点について, 技術面, 金銭面, 組織面などから整理することが出来た。
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