研究概要 |
本研究は都市再開発の実施展開を分析することで, バブル経済崩壊後の都市空間の再編が如何にして進んできたのかを考察し, その都市再開発が意味するところを明らかにするものである。本研究課題を遂行するに当たっては都市再開発の(1)問題点, (2)実施過程, (3)戦略性をサブテーマとして設定しているが, 本年度は各サブテーマに関する基礎データの収集・整理・分析を中心的に行った。また, (1)については重点的にデータを収集し, データベースを作成した。具体的には, 『日本の都市再開発第1〜6』を用いて, これまでに実施された市街地再開発事業の施行過程や従前・従後の空間データ, 権利者データを抽出し, それらについてのデータベースを作成した。さらに, 国土交通省での調査を行い, 都市再開発を企図したものの実施されなかった地区を選び出し, それら再開発計画が頓挫した地区のリストも作成した。その上で,数度にわたって現地調査を行いつつ, 上記の再開発計画が実施された地区と頓挫した地区の差異について分析も進めた。本研究は主としてバブル経済崩壊後の都市再開発の展開を考察するものであるが, それ以前の時期も踏まえて分析・考察を行なっていく必要があることから, (1)のサブテーマに関する上記の資料収集・データベース化・分析については, 都市再開発法が制定(1969年)されて以降のすべての事例を対象とした。今後は, 本年度の研究成果を次年度に学会発表や公刊論文という形で公表するとともに, さらに詳細な調査・分析・考察を進めていく。
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