研究概要 |
本研究は都市再開発の実施展開を分析することで,バブル経済崩壊後の都市空間の再編が如何にして進んできたのかを考察し,その都市再開発が意味するところを明らかにするものである。本研究課題を遂行するに当たっては,(1)都市再開発の実施展開についての研究,(2)都市再開発の問題点についての研究,(3)都市再開発の戦略性についての研究をサブテーマとして設定しているが,本年度(平成22年度)は,過年度までに取り組んできたサブテーマ(1)および(2)についてさらなる分析を行うとともに,サブテーマ(3)について詳細な調査・分析を行った。 具体的には,まず,既往研究や雑誌記事を基に近年の不動産業界の動向を整理・分析した。次いで,旧財閥系や私鉄系などの大手不動産デベロッパーを中心に調査対象を選定し,有価証券報告書や社史,業界商業誌,新聞記事,聞き取り調査により,バブル経済期以降におけるそれら企業の都市再開発の戦略性について分析を行った。分析・考察の結果,1990年代後半以降,各社は総じて不動産事業において都市再開発の重要性を高めてきた傾向にある点や,既存ストックを活用するために従来から不動産事業を展開してきた地域で都市再開発を実施するなど,特定の地域に集中して都市再開発を実施展開する戦略を採ってきている点などが明らかとなった。 以上のように,本年度はサブテーマ(3)を中心に本研究課題に取り組んできた。しかし,それらの研究成果については諸々の事情により,本年度においては学会発表および雑誌論文にて公表するには至らなかった。したがって,それらの成果は速やかに公表していきたいと考えている。
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