本研究はエスニック集住地区、特にイスラム系住民の集住地区がどのように形成・発展・衰退するのかを(1)都市内居住地移動という人口的側面、(2)集住地区が都市内のいずれの場所にあるかという空間的側面、(3)エスニック事業所の立地展開という社会・経済的側面、(4)エスニック・コミュニティにおける文化の継承という文化的側面から考察することを目的としている。 2年目となる平成21年度は、課題(3)について論文としてまとめるべく整理・検討を行う予定であった。しかしながら、2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を期した世界的な金融危機の余波がアムステルダムのエスニック事業所にも如実に影響を与えていることが観察された。そこで平成20年度に悉皆調査を試みたアムステルダムのゼーブルフ地区の目抜き通りヤーファ・ストラートにおける、エスニック事業所への金融危機の影響を調査すべく、移民の経営するエスニック事業所の変容を調査した。また、これまでの研究成果を図書や雑誌に公刊するとともに学会発表も行った(次頁参照)。
|