本研究はエスニック集住地区、特にイスラム系住民の集住地区がどのように形成・発展・衰退するのかを(1)都市内居住地移動という人口的側面、(2)集住地区が都市内のいずれの場所にあるかという空間的側面、(3)エスニック事業所の立地展開という社会・経済的側面、(4)エスニック・コミュニティにおける文化の継承という文化的側面から考察することを目的とした。 3年の研究期間の最終年度となる平成22年度は、課題(4)についての現地調査を行いつつ、その整理・検討を行った。アムステルダムの1地区であるゼーブルフ地区は移民の集住が顕著に見られる。このゼーブルフ地区においてエスニック・コミュニティがどのように形成され、文化の継承がいかになされているかについて聞取り調査を実施した。その結果、イスラム系住民は出自ごとに強いコミュニティを形成しているが、ゼーブルフという地縁に基づくコミュニティの形成はまれであることが明らかとなった。 二年目における補充調査の必要性、および三年目末の旅程変更により研究成果の公表は若干遅れる予定であるが、三年間の成果は雑誌論文および書籍として公表予定である。
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