地域のソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が形成される地理的・歴史的経緯を質的に解明するため、愛知県知多半島に居住する企業労働者・退職者に対する探索的インタビュー調査を実施した。その結果、職位や職業の変化と、社員寮・社宅・持家といった居住地の移動とが並行し、社会関係(特に社縁)の構築と変遷が地理的・歴史的文脈に大きく依存している状況が示された。また、大企業が提供する健康管理や福利厚生が、労働者や家族の社会関係や健康状態を規定する側面もあることから、日本社会においてソーシャル・キャピタルと健康を考える上では、地域だけでなく「会社」というアクターを考慮する必要性が指摘された。
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