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2010 年度 実績報告書

呪術とジェンダーに関する歴史人類学的研究:ビルマにおける霊媒カルトの事例から

研究課題

研究課題/領域番号 20720247
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

飯國 有佳子  国立民族学博物館, 外来研究員 (90462209)

キーワード歴史人類学 / 呪術 / ジェンダー / ビルマ(ミャンマー / モダニティ / 霊媒カルト
研究概要

これまで精霊を奉じる霊媒を中心に形成される霊媒カルトは主に女性の関わるものとされてきた。そこで、『現代ビルマにおける宗教的実践とジェンダー』では、従来の議論の理論的整備を行うと同時に都市部霊媒カルトとの比較対象として村落部における女性の精霊信仰への関与のあり方を明らかにした。また女性と仏教のかかわりについては、『ミャンマーの女性修行者ティーラシン-出家と在家のはざまを生きる人々』で論じている。
このほかにも、霊媒カルトにおけるジェンダー規範の変容に関し、複数の研究発表を行った。近年、ミャンマーでは主な霊媒の担い手が女性からメインマシャーと呼ばれるMtoF(Male to Female)トランスジェンダーへと変化していることから、「宗教と社会」学会における発表では、なぜ霊媒となる女性が少なくなっているのかについての考察を行った。また、日本文化人類学会ならびにフランスで開催された2010 International Burma Studies Conferenceでは、トランスジェンダー霊媒の間で顕著な、精霊からの招命の証としての精霊との性的な夢の語りの不在や、成巫儀礼を精霊との「結婚」と捉える従来の解釈の否定、神話の創造といったいくつかの変化が、精霊の主体性や神話における異性愛主義を否定することなく、ビルマの精霊信仰における異性愛主義を脱構築するための交渉的過程となっていることを示した。一方で、通時的課題については史料の限界から捗々しい成果を挙げることができなかったため、今後の課題としたい。
研究成果は今後さらに6月の国際シンポジウムや英文出版等によって国際的に公開していく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 学会発表 (3件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Avoiding "Marriage" to Nats : A Transition in the Interpretation of Dreams and Sexuality among Transsexual Mediums in Myanmar2010

    • 著者名/発表者名
      IIKUNI, Yukako
    • 学会等名
      2010 International Burma Studies Conference
    • 発表場所
      Universite de Provence, Marseille, France
    • 年月日
      2010-07-08
  • [学会発表] 精霊と結婚しない「男」:ビルマ精霊信仰における夢とセクシュアリティの変容2010

    • 著者名/発表者名
      飯國有佳子
    • 学会等名
      日本文化人類学会第44回研究大会
    • 発表場所
      立教大学観光学部
    • 年月日
      2010-06-16
  • [学会発表] 女性からトランスジェンダーへ:女性から見たミャンマー都市部霊媒カルトにおける霊媒のマジョリティの変容2010

    • 著者名/発表者名
      飯國有佳子
    • 学会等名
      「宗教と社会」学会第18回大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2010-06-05
  • [図書] 現代ビルマにおける宗教的実践とジェンダー2011

    • 著者名/発表者名
      飯國有佳子
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      風響社
  • [図書] ミャンマーの女性修行者ティーラシン-出家と在家のはざまを生きる人々2010

    • 著者名/発表者名
      飯國有佳子
    • 総ページ数
      62
    • 出版者
      風響社
  • [備考] 国立民族学博物館ホームページ

    • URL

      http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/20720247.html

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公開日: 2012-07-19  

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