本研究は、フランスを比較対象国としつつ、自由主義原理により規定されてきた行政法学における民主主義原理の位置づけを追究するべく、地方分権・地方自治の側面と契約化の側面からのアプローチを行った。 一方で、フランスの地方分権改革につき、これを、個人から地域へという視点の移動による"現代化"の動きとして分析すると同時に、法意識レベルにまで完全に定着した近代法原理との間で見られるアンビヴァレンスを浮き彫りにした。他方で、確固たる行政契約法理を踏まえた上で、公法人・私人間のみならず、公法人相互間、公法人内部においても、著しい発展を見せている契約手法につき、日独とは異なる法構造をもつフランス法の分析を通じて、一つの相対的視座を提供した。
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